人間の器官のうち、手や足、腰、首、目、口などを意志どおりに動かす随意筋を除けば、人間の体はほとんどが自律神経によってコントロールされています。
この自律神経には交感神経と副交感神経があり、この二つの神経は互いに補完し合い、バランスを保ちながら各臓器の機能を調節します。その働きは、精神的肉体的ストレスの影響を極めて受けやすいデリケートさがあります。
ストレスは様々な病を引き起こす
病原菌や毒物、けが、食事などの問題を除けば、すべての病はストレスがかかっていると言われています。
ストレスによる多くの病の中でも、特に影響を受けやすいのが髪の毛です。そのため、ストレスは脱毛症を招くことになるのです。
血行不良が招く抜毛
皮膚の中の毛根周辺にある毛細血管を赤血球が通ります。この赤血球は柔軟性を持ち形状を変化することができるため、毛細血管の太さよりも大きな赤血球が毛細血管を通過できるのです。
血液はすべての細胞にとっての栄養源。この栄養源を正常に運ぶことはとても重要です。
あらゆる細胞のうち最も分裂を繰り返す頻度の高い毛母細胞は、血行不良を招きやすい毛細血管から絶えず栄養補給を受けています。
血行をコントロールしている自律神経にゆがみが起きれば、すぐに血行不良となり、毛乳頭は栄養補給を遮断され、毛母細胞は細胞分裂を停止します。そして活力をなくし、抜毛が止まらなくなり脱毛します。
悪性円形脱毛症とは
自己免疫疾患による脱毛症のことです。人間の体内に細菌や異物が侵入すると、これを攻撃・排除する役割をもつ免疫機構があります。ストレスによって自律神経がバランスを崩し、各伝達系の組織にも混乱をきたすようになり、免疫機構は正常なコントロールをなくして暴走するようになります。
暴走する免疫機構は毛母細胞を敵と捉え、攻撃し、短期間に毛母細胞にダメージを与え、脱毛を頻発させます。攻撃を繰り返される毛母細胞は激しい脱毛を起こしても、しばらくすると発毛しますが、またも攻撃されるため脱毛を繰り返すことになり、最終的に髪は生えなくなってしまいます。
完全な治癒には努力がいるため、これを悪性円形脱毛症と呼んでいます。